3週間の質の良い禁欲を経て、思考が研ぎ澄まされてきているのを感じる。
目を閉じて、心を平穏に、真実を見据えることができている感覚がある。
ただ、自分の能力が上がったところで、職場での自分の地位は変わらないだろう。一度非モテの烙印が押されれば、本人がどれだけ変わろうと周りはそれを認めない。彼らは絶対的に自分より下の存在を求めているのだ。自分よりも下の存在がいることで彼らは心の安定と安心感を手に入れる。その格付けの逆転は彼らは絶対に認めない。そしてその格付けを守るために、彼らは、新しい人が入社して来た際もその人に自分達に有利なことを吹き込む。自分達はイケてるグループだと思わせて、一方でたっつんは非モテでいじられキャラだ、と吹き込みレッテルを貼る。
さらにタチの悪いことに、この各付けは「仕事の質」でなされているわけではないことだ。仕事とは別に、「ルックス」「対異性でのプライベート充実」。この2点で格がつけられている。
例えば、彼らは俺の恋愛を応援していると言う。しかしそれは嘘だ。彼らは俺のプライベートを、エンターテイメントとして、馬鹿にして楽しむことを望んでいる。応援しているとしても俺がそんなに可愛くない地味な子と結ばれることを望んでいる。それが順当だと思っている。しかし、もし俺が、彼ら彼女らと同水準、もしくはそれ以上の美女をゲットしたら、彼らは素直には喜ばないはずだ。「おかしい、間違っている!」「相手の女の子は騙されている!」そう思うに違いない。そしてきっと妨害してくるであろう。
現に、身の回りでも似たようなことがしょっちゅう起きている。ある同僚の男性社員。彼は俺に対して、そんなに可愛くない女性社員をお似合いだとか言ってくる。いくべきだ、なんて言ってくる。しかし、若くて容姿が良い女性社員が対象だと、全く反応が違う。むしろそういう子が俺のことを褒めたり良く言うと、全力で否定してくる。そして俺の評価が上がらないようにその子に対して積極的に俺の非モテの面をアピール、吹き込むようなことをする。
要は、コミュニティにおいて一度非モテのレッテルを貼られれば、その逆転などは絶対にできないし、そんなことをしようとしてもエネルギーの無駄だ、ということだ。逆転を目指すのであれば、【そのコミュニティの外】でチャンスを見いだせ。
男性社員にしろ女性社員にしろ、先輩にしろ後輩にしろ、俺のことを嘲笑の対象として見下している社員たちは【敵】である。相手は仕事中はいっけん良好な関係で仕事をしているように装っている。しかし彼らは、いつだって俺を馬鹿にできるポイントを探している。そして【飲み会】で酒のツマミにするのだ。そう、彼らはもはや【敵】なのだ。俺も彼らとコミュニケーションをとり、表面上は笑顔で仕事をしている。しかし、心では常に身構えて、敵に弱みを見せないことにした。
俺は彼らのペースに巻き込まれることはない。彼らがどう思おうと、自分磨きを続けて、仕事で高いパフォーマンスを発揮して、定時で帰る。そして、【職場の外で】美女をゲットしてみせる。